こんばんは!
車いすカウンセラー、前田真規です。

 

「News Every」「夢の扉」、そして今回またテレビ撮影でお世話になった、ジャーナリストでテレビのディレクターでもある、塩田芳享さんが電子書籍を出版されたので、読んでみました。
紙の本を持っている姿勢が辛い私には有りがたい電子書籍。

 

『誤嚥性肺炎は食べながら治す』塩田芳享

 

私の母方のおばあちゃんは、3年前に97歳で亡くなったのですが、入院先の病院で、最期まで「饅頭食べたい。ういろう食べたい。家に帰りたい」と言っていました。
おばあちゃんが好きだったお饅頭があったのです。

 

2回目の脳梗塞で入院し、入院から3ヶ月目に転院した病院で亡くなりました。

 

当然、お医者さんは「誤嚥するといけないから」ということで、点滴で栄養を摂るようになりました。

 

そうしたら、見る見るうちに痩せ細っていって、衰弱していきました。

 

私が最後にお見舞いに行った時には、痩せ細った体にオムツが露わになって、布団もかけてもらってなかった。
そして、私の母に何度も、「饅頭。ういろう。饅頭食べたい」と言っていました。

 

母から、「同部屋の人に看護師さんが『◯◯さん、ご飯でーす」って持ってくるでしょう?
おばあちゃん全部聞こえてるんだわ。
匂いもするでしょう?
腹減ったぁって言うの。可哀想だよ」と聞いた時、

 

私は、「ねぇ、お父さんに廊下で見とってもらって、内緒で食べさせたらいかんの?
おばあちゃん可哀想だわ」と言いました。

 

母は、「いかん、いかん。もし誤嚥したらバレるし、死んでまうかも知れんで」と、まぁ、当然といえば当然の考えでした。

 

私は、「どうせそんなに長くないんだったら、あんなに食べたいと言ってるものを食べさせてあげればいいのに」とさえ思っていました。

 

お葬式の時に、おばあちゃんが好きだったお饅頭を棺の中に入れてありましたが、死んでからでは遅いんだよって。

 

おばあちゃんは、何のために入院したんだろう。
生かされてるとはどういうことだろう。

 

そんなことを、おばあちゃんが亡くなってからしばらく考えていました。

 

肺炎は、今や脳卒中を抜いて、癌、心疾患に次ぐ第3位で、肺炎の中でも誤嚥性肺炎は8割を占めるそうです。

 

だからこそ、お医者さんの殆どが、その危険を感じたら、絶飲食させるんだと思います。

 

でも、塩田さんの本には、それ自体は医者が悪いわけではなく、誤嚥性肺炎に対するちゃんとした知識や情報が少ないからだと書かれています。

 

詳しくは塩田さんの本を読んでいただきたいのですが、私が特に印象に残ったことは…。

 

誤嚥性肺炎になって、一旦は口から食べることをストップさせても、上手にタイミングを見極め、口から食べることを再開することで、体力や抵抗力もつき、結果的に早く回復する。

 

以前、主治医に聞いた話によると、人間は、う◯この中の細菌に匹敵するくらい、口の中には細菌がたくさんあるそうです。
その細菌がなるべく肺に入らないように、口腔ケアをすることが大事。

 

絶食中の人を再び口から食べられるようにすることには、リスクが伴う。
そこは、家族もある程度 覚悟をする必要がある。

 

本の中には、喉頭癌で余命1ヶ月だった人が、適切な指導のもと口と喉のリハビリを行なって再び食べる機能を取り戻したこと、寝たきりだったのが杖をついて歩けるようになったこと、そして、ついには癌が消えてしまった等、信じられなくも 家族や本人にとっては希望が持てることも書いてありました。
リスクもあるけど、その先に幸せが待っているかもしれないと。

 

口から食べるということが「生きる力」になることは医学的にも証明されていても、日本には「食べさせるプロフェッショナル」が圧倒的に少ないんだそうです。

 

それでも、少ないながらも「食べさせるプロフェッショナル」=「食医」が存在するそうで、塩田さんの本にはそのリストも載っています。

 

愛知県では、藤田保健衛生大学病院。
家からは、と、遠い。

 

「食医」といっても、医師はもちろん、歯科医や看護師さん、施設の職員さんたちで、安全に食べさせる、そして免疫力を維持したり高める取り組みをしているところもあります。

 

このブログは、元主治医や訪問看護師さんたち医療者も読んでくれてます。
今度、その人たちにも意見を聞きたいと思っています。

 

私は、一時的には絶食したとしても、なるべく早く食べることを選びたい。
そう先生に伝えると思います。

 

全員が全員、口から食べることがいいとは思っていません。

 

高齢者に限らず、障害の重い人たちの中には、誤嚥を繰り返してしまうため、やむなく胃ろうから栄養を入れている人もいます。

 

ただ、著者の塩田さんの知り合いで、障害のある人も診ているお医者さんの一人は、障害のある人は高齢者以上に口が衰えている傾向にあると仰っていたそうです。

 

病気によっては噛む力、飲み込む力がない人、消化する機能が低下している人もいるので、一概には言えません。

 

でも、FBのお友達になっているALSの男性で、口から食べたいという想いを「咽頭気管分離術」で叶えて、食べたいものを食べ、健康的に過ごしている方もいます。

 

「食べながら治す」か「絶食して治す」か二者択一を迫られた時、あなたならどちらを選びますか?