こんばんは!
車いすカウンセラー、前田真規です。

 

 

 

この本、読みました!

 

先日、私も出させていただいた、「ガイアの夜明け」を編集して下さった、ジャーナリストでありディレクターでもある塩田芳享さんの著書です。

 

まず、全体を通して思ったことは、塩田さんの佐藤仙務さんへの愛、そして重度の障害を持つ者への応援を込めた塩田さんの気持ちが嬉しい内容の本になっているなぁということ。

 

この本は、常に介助が必要な重度の障害者にも色んな可能性があることを、佐藤社長を通して伝えているんだと思いました。

 

重度障害者でも、働きたいという人はたくさんいます。
だって、誰だって人の役に立ちたい、社会に貢献したい、そして できればお金も欲しいって思ってるから。

 

自分一人では、会社に通勤することが難しい、ましてや社内で仕事中にもたびたびトイレ介助や食事介助、痰の吸引などが必要な重度障害者は、外で働くということができません。

 

でも、今や発展が目覚ましいITや「オリヒメ」などのロボットを使えば、工夫次第で重度な障害者でも仕事ができる可能性が大きく広がる。
場所に縛られることなく。

 

今47歳の私は、パソコンは20歳くらいから始めたんだけど、今の時代の子よりは遅かったです。
障害をもつ子の親御さんは、なるべく早いうちにお子さんにITに触れる機会を作っておいたほうが、将来 断然有利になります。

 

指1本しか動かなくても、佐藤社長やACジャパンのCMに出ている筋ジスの宗本さんのように、スイッチを工夫したり、視線入力を使うことで、

 

「その人の能力や技量に合わせて仕事を選ぶ。
これなら、どんな重度障害者でも仕事はあるはずだ。」

と、塩田さんは言っています。

また、第7章の「障害者カウンセラーの育成」のところでは、私のことも少し書いて下さっています。
インタビューに来てくれたのは、年末も押し迫る去年の12月のことでした。

塩田さんは本の中で、

「実際に行われるピアカウンセリングの多くはボランティアで行われており、お金の取れる仕事になっていない。
それをどう克服するか。」と書かれています。

障害者の自立生活運動の長い歴史の中で、ピアカウンセリングをビジネスにするなんてとんでもないことだったと思います。

でも、しっかりと技術を磨き、ピアカウンセリングで収入を得られるスキルを身につけることが、JPA(一般社団法人 日本ピアカウンセリングアカデミー)のスタンスです。

相談する人は、料金を支払うことで、真剣に人生を良くしようと 自分に向き合います。

ピアカウンセラーは料金をいただくことで、自分の考えを押しつけることなく、そういう仲間に伴走し、共にその人の人生を良くする責任を持つことができます。

 

ボランティアではなく仕事だから、いい加減な対応はできません。

 

本の中で、これは塩田さんの名言だなと思った言葉があります。

 

『「健常者のフィルター」を外してしまえば、そこはバリアフリーの世界なのだ。』

 

「健常者のフィルター」、これは、今は教えてもらうのをお休みしている(サボっている・笑)けど、私のマーケティングや心理学のメンターである、HIDE(稲津秀樹)さんの言葉を借りれば「観念」です。

 

観念。分かりやすく言えば「思い込み」、心理学でいえば「スキーマ」。

 

・障害者は可哀想。
・障害者は役に立たない。
・障害者は天使のように汚れがない。

 

などが観念です。

 

同時に、障害者自身も自分の障害や他の障害者に観念を持っています。

 

・障害者は守られるべき存在だ。
・障害者は無料、割引きにするべきだ。
・重い障害があると、仕事、恋愛、結婚はできない。
・障害があるから私の人生は幸せではない。

 

など。
それらのフィルター(観念)を外せば、取り払えば、重い障害があっても可能性は無限大だと、佐藤社長の生き様を追ってきた塩田さんが言っているような気がします。

 

ぜひ読んでみて下さい。

 

P.S 最後の章の「それぞれの道へ」というところで、佐藤社長と一緒に会社を作った、相棒の松元拓也さんが仙拓を退職し、自分の会社を立ち上げ、別々のフィールドで頑張っていくことになったと書かれています。

 

いつも佐藤社長をいじったりディスったり?爆笑している松元さんだけど、佐藤さんがインフルエンザからの肺炎になり、生きるか死ぬかで気管切開した時、声が出なかった佐藤さんに心を痛めて、

 

「あいつを助けてやって下さい。
お願いします」と、私にLINEしてきたのも松元さんだったと付け加えておきます。
泣ける〜。